本
2023年以降にブックマークした本の書影は
書影一覧
にまとめて表示しています。
- 『中世史とは何か』
- ジョン・H.アーノルド/著 図師宣忠/翻訳 赤江雄一/翻訳
- 岩波書店
- 2022/12/27
- ISBN: 9784000615778
フィクションの世界で描かれる「暗黒の中世」は、近代ヨーロッパが創り出した政治的な物語だ。異端審問、王の儀礼、市民の裁判……注意深く史料を読み解けば、当時の人びとが生き生きと甦る。『歴史〈一冊でわかる〉』やBBCの企画、市民向け講座で有名なケンブリッジ大学教授が誘う、新鮮でドキドキする本格的中世史入門。
-- 中世史とは何か ジョン・H.アーノルド(著/文) - 岩波書店 | 版元ドットコム
- 『環境社会学事典』
- 環境社会学会/編集
- 丸善出版
- 2023/04/01
- ISBN: 9784621307540
環境社会学は、人間社会とその周辺の自然環境との相互作用を社会や人々の側から検討する学問である。日本の環境社会学は、公害や大規模開発の問題等の解決を目指す「環境問題の社会学」と、人間と自然環境の多様な関係性や生活世界の理解を目指す「環境共存の社会学」として展開されてきた研究がベースとなっている。ともに被害者、被災者、生活者、居住者の視点とフィールドワークを重視しながら、時には隣接する学問分野と協働し研究することが特長といえる。
新型コロナウイルス感染症、豪雨による洪水被害、猛暑・台風・豪雪の激甚化など、私たちの日常生活は多くのリスクに直面している。このようなリスクの根源には人間社会と自然環境との関係性の歪みが潜んでいる。
本事典は、こうした時代だからこそ社会にとって重要な意味を持つ、環境社会学の視座やアプローチ、これまでの研究蓄積、そして今後の展開を収載している。
-- 環境社会学事典 環境社会学会(編集) - 丸善出版 | 版元ドットコム
- 『日本語からの哲学: なぜ〈です・ます〉で論文を書いてはならないのか?』
- 平尾昌宏/著
- 晶文社
- 2022/09/27
- ISBN: 9784794973276
〈です・ます〉体で書き上げた論文が却下された著者が抱いた疑問。「なぜ〈です・ます〉で論文を書いてはならないのか?」
〈である〉と〈です・ます〉、二つの文末辞の違いを掘り下げていった末にたどり着いたのは、全く異なった二つの世界像=哲学原理だった。
国語学、日本語学の成果をふまえ、日本語で哲学することの可能性を追求した画期的な論考。〈である〉と〈です・ます〉それぞれが表す哲学原理とは? 愛、正義、ケアの概念は〈である〉で語るべきか、それとも〈です・ます〉で語るべきか? 世界には〈です・ます〉でしか描けないものがある。スケールの大きな思考実験にして、唯一無二の哲学入門。
-- 日本語からの哲学 平尾昌宏(著/文) - 晶文社 | 版元ドットコム
- 『だれが校則を決めるのか: 民主主義と学校』
- 内田良/著 山本宏樹/著
- 岩波書店
- 2022/12/16
- ISBN: 9784000615754
「地毛証明書」への疑問、制服のジェンダーレス化要望……いまだに残る理不尽なルールをはじめ、校則のあり方が問われている。それをだれが、どのように見直し、決めていくのが望ましいのか。生徒・教師・保護者・市民……人々の校則との関わりの実際と構造、そして民主主義的な場である学校のルール形成の可能性を探る。
-- だれが校則を決めるのか 内田 良(著/文) - 岩波書店 | 版元ドットコム
- 『トゥーキュディデースとホッブズ: 真のリアリズムを求めて』
- 木庭顕/編集・翻訳
- みすず書房
- 2022/12/05
- ISBN: 9784622095590
鮮やかな論証で先入見を覆す最新最良の論集。HobbesのThoukydides受容を論じる気鋭の2篇(Hoekstra, Iori)を基軸に、Hobbes研究最先端(Malcolm, Hoekstra)、Thoukydides研究(De Romillyの古典的傑作、編訳者書き下ろし)を緊密に編む。同時代の政治状況においてThoukydidesを真剣に読んだHobbesを、現代の私たちが真剣に読む。真のリアリズムを求めて。
-- トゥーキュディデースとホッブズ 木庭顕(編集 | 翻訳) - みすず書房 | 版元ドットコム
- 『アディクションと金融資本主義の精神』
- 鈴木直/著
- みすず書房
- 2023/03/20
- ISBN: 9784622096047
中毒、依存、嗜癖(しへき)などと訳される「アディクション」。スマホ、ギャンブル、ゲーム、飲酒、買い物……その対象は多岐にわたり、今日のネット社会ほどアクセスが容易になったことは人類史上かつてない。短期報酬を追い求めるアディクション化した金融経済は、実体経済を呑み込みながら、資本主義のカジノ化を推進している。
拡大するアディクションと、不安定化する金融資本主義。著者はそこに、人間の認知機能にそなわった特異な能力と脆弱性が深く関与していることを突き止める。そもそも近代化と資本主義の内に、アディクションを生み出す認知的なメカニズムが潜んでいるのだ。本書では、カント、ヘーゲル、ゲーテ、マルクスらの近代思想をふり返りながら、両者の関連をたどっていく。
しかも認知機能には限界がなく、それゆえ現代資本主義は、土地も人口も資源も尽きることがない無限の仮想空間(メタバース)に新たな収益源を求めつつある。
社会の断片化によって孤立した個人がアディクション的行動に走り、それが資本主義をさらに不安定化させる。拠り所を失った個人は、やがて独裁者やカルト集団にも容易に隷従することになるだろう。
アディクションを抑制しながら、民主主義が資本主義をコントロールする社会をつくり上げていくことは可能なのか。広い視野と多様な領域から、共に解決を求める場を開く。
-- アディクションと金融資本主義の精神 鈴木直(著/文) - みすず書房 | 版元ドットコム
- 『ケアの倫理と共感』
- マイケル・スロート/著 早川正祐/翻訳 松田一郎/翻訳
- 勁草書房
- 2021/11/30
- ISBN: 9784326102983
ギリガンやノディングズが立ち上げたケアの倫理を、道徳を包括的に説明しうる規範理論として提示。共感という概念を軸に据える。
感情主義的な徳倫理学の提唱によって現代倫理学に新たな道を拓いたスロートが、本書では「成熟した共感」という観点を掘り下げることでケアの倫理を義務論や功利主義と並び立つ規範倫理学として展開。発達心理学に依拠しつつ共感概念を洗練させ、人間の情緒や関係性に根ざした道徳理解から行為や制度の正/不正、自律と尊重を論じる。
-- ケアの倫理と共感 マイケル・スロート(著/文) - 勁草書房 | 版元ドットコム
- 『未来倫理』
- 戸谷洋志/著
- 集英社
- 2023/01/17
- ISBN: 9784087212488
私たちの行動はいま生きている世代に限らず、遠い未来にまで影響を与えることがある。テクノロジーの発達によってもたらされた行為と結果の大きな時間差は、私たちの社会に倫理的な課題を次々投げかける。気候変動、放射性廃棄物の処理、生殖細胞へのゲノム編集……。現在世代は未来世代に対して倫理的な責任があるのならば、この責任をどのように考え、どのように実践したらよいのか。倫理学の各理論を手掛かりに、専門家任せにせず私たちが自らの考えを形作るための一冊。
-- 未来倫理 戸谷 洋志(著/文) - 集英社 | 版元ドットコム
- 『公共哲学入門: 自由と複数性のある社会のために』
- 齋藤純一/著 谷澤正嗣/著
- NHK出版
- 2023/03/25
- ISBN: 9784140912782
わかりあえない他者と生きる思考法
多様性よりも「複数性」を、そして何よりも人間の「平等な自由」を実現するために――。カントに始まり、功利主義、ロールズ、リバタリアニズムなど定番の要点をしっかり押さえたうえで、デモクラシーの価値を根底から問い直す。「今だけ・自分だけ」の発想を乗り越えて、政治的意思の違いを互いに解消することなく、共に生きていく視点を身につける「新しい教科書」!
-- 公共哲学入門 齋藤 純一(著/文) - NHK出版 | 版元ドットコム
- 『アーレントと革命の哲学: 『革命論』を読む』
- 森一郎/著
- みすず書房
- 2022/12/20
- ISBN: 9784622095545
暴力によるのではない仕方で、新しく始めることはいかにして可能か。…革命の成否のカギは暴力にあるとする固定観念を疑問に付し、政治的なものに固有な「権力(パワー)」、つまり言論と行為にみなぎる人間力に革命の本質を見出そうとするのが、アーレントの『革命論』なのである。同じく人類古来の言い伝えを借りて表現すれば、こうなろう――「はじめに言論(ロゴス)があった」と。新しい始まりとしての革命を構想する哲学は、暴力ならぬ言論の力を、つまりその意味での人間力を信ずるものでなければならない〉
アーレント『革命論』をどう読むか。本書は『革命論』の訳者による、詳細なテクスト読解である。「革命とは何か」についてのアーレントの基本的考え方、フランス革命からロシア革命にいたる系譜だけでなく、アメリカ独立革命にアーレントが重点を置いた意味、さらに、始まりとは、約束とは、「どんな革命にも驚くべき規則性で現われてくる新しい国家形態」である評議会制とは、そして憲法とはいかなるものか。
このように『革命論』を読み解きながら、著者はわれわれを取り巻く戦後日本の姿、とくに日本国憲法のあり方をめぐって考察を進めてゆく。
一冊の本から何を知り、理解し、考えることができるか。厳密かつ自由なレッスンの書である。
-- アーレントと革命の哲学 森一郎(著/文) - みすず書房 | 版元ドットコム