社会思想

「自由」の思想史 金子晴勇(著/文) - 知泉書館 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784862853721

「自由」は私たちの生活や社会,政治のいろいろな側面で日々問題となっている。内面の自由から外面の自由まで,それぞれの思いでこの言葉は使われる。

人間にとっての自由とは何か。自由はどのような歴史的な経緯で形成されたのか。ヨーロッパから輸入されたこの言葉は,誰もが知っているが,誰も知らない。本書は行為する人間にとっての意志とその自由の本質を解明する。

古代社会における人間の自由から,後世に多大な影響を与えたアウグスティヌスの自由意志論と恩恵との関連を考察する。さらに中世の自由意志と恩恵の問題をボエティウス,アンセルムスをはじめ,ベルナール,トマスやスコトゥス,オッカムの6人の思想家を通して明らかにする。

ルネサンスと宗教改革時代の自由論はルターとエラスムスの自由意志論争に象徴されるが,それらを受けて啓蒙時代には社会契約や人権思想の影響により社会における自由が社会的課題となった。ヘーゲルは歴史と自由を弁証法的に展開し,自由概念を拡張した。そのなかでカントの超越論的主観性に基づく自由論の影響は広範囲に及び,さらに個人主義はエゴイズムやニヒリズムへと変容し,個人の行為および意志と自由は,深刻な課題に直面した。

今日,他者の喪失や対話の困難さを踏まえ,主観性から間主観性への転換のなかで,「自由」のために個性的人格主義と新たな共同体の構想を展開する。現代人必読の書。

金子晴勇著。

社会主義前夜 中嶋 洋平(著/文) - 筑摩書房 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784480075109

格差によって分断された社会を、どのように建て直していくべきなのか。革命の焼け跡で生まれた、”空想的”でも”社会主義”でもない三者の思想と行動を描く。

サン=シモン、オーウェン、フーリエ。この三人の名を聞けば、多くの人が「空想的社会主義」という言葉を連想するだろう。だが、彼らの一人として社会主義を打ち立てようとした人はいないし、地に足のつかない夢想家でもない。現在から見れば、彼らは社会企業家や社会プランナーとも呼べる存在だった――。一九世紀初頭、フランス革命と産業革命という二つの革命によって荒廃し、格差で分断された社会をどのように建て直すのか。この課題に取り組んだ三者の思想と行動を描く。

中嶋洋平著。

人種契約 チャールズ・W・ミルズ(著) - 法政大学出版局 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784588011504

現代の民主主義国家が自明の前提とする社会契約論はその根底にレイシズムをはらんでいる。ホッブズ、ロック、ルソー、カントからロールズにいたる白人のための政治哲学を書き換え、あらゆる政治体制の基本構造に埋め込まれた人種差別契約を打ち砕くためにわたしたちはいかに思考すべきか。批判的人種理論の射程を大きく広げたブラック・ラディカリズムの名著、邦訳成る。

チャールズ・W・ミルズ著、杉村昌昭/松田正貴訳。

近代社会と個人 竹内真澄(著/文) - 御茶の水書房 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784275021649

西洋社会思想史を<私人>と個体の同一性から相克への発展として解読し、個体の全面開花によって<私人>の排他性を止揚する回路を開き、これによって将来社会を創造する実践に寄与しようとする思想史分析は、従来ほとんど注目されてこなかった。長い研究史の中において、いまだ未発見の隠された尾根道を辿り、その個体概念の足跡を内在的な展開として論証することが本書の課題。

竹内真澄著。

コスモポリタニズム クワメ・アンソニー・アッピア(著/文) - みすず書房 | 版元ドットコム

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784622095330

「コスモポリタニズムの出発点をなすのは単純な考え方である。国家における場合と同様、全人類を単位とする共同体においても、私たちは違いを乗り越えて平和に共存することを習慣としなければならない、という発想がそれである」(本文より)

コスモポリタニズムのこうした発想は耳に心地よいが、現実離れした理想主義的な考え方だ、ととらえる向きもある。コスモポリタニズムの考え方を徹底することで、国家や地域、さらには家族といった、個性や伝統を備えたつながりや愛着が犠牲になりはしないだろうか、といった疑念がもたれることもあるだろう。

しかし、と著者アッピアは言う。この地球に住むすべての人を気にかけて暮らすことと、個々別々の地域に根差した文化や伝統を大切にして暮らすことは両立させられるはずだ。

アッピア自身が、ガーナ人の父とイギリス人の母のもとに生まれ、現在アメリカに居を構えるコスモポリタンである。本書は、ともすれば安易な理想主義に陥りかねないコスモポリタニズムの思想を、さまざまな文化や習慣に触れてきた著者の経験を交えつつ、現代に通用する形で鍛え直すことをねらいとしている。「過去の遺物」ではない、「新しい可能性」をもった倫理として。

クワメ・アンソニー・アッピア著、三谷尚澄翻訳。